投稿日:2020年9月7日 | 最終更新日:2024年1月12日
歯の根を残す治療
mtaセメントの重要性
福岡市の歯医者歯科ならスマイルライン歯科・矯正歯科アイランドシティ 根管治療で使うmtaセメントとは? 成分や効果
歯にはそれぞれ「神経」とも呼ばれる歯髄というものが存在します。むし歯で歯のエナメル質や象牙質が侵されると、むし歯はこの歯髄に達します。むし歯が歯髄に達すると、激しい痛みを伴いながら歯髄が侵食され、歯髄炎や根尖性歯周炎という病気になり、治療が困難になっていきます。
通常、むし歯が歯髄に達すると、この歯髄を取る「抜髄」という処置がなされますが、歯髄を抜いた歯は「失活歯」という活動をしていない歯になってしまいます。数年後には治療が終わっていてもある日突然割れてしまうこともあります。また、生活反応を示さないため感染に弱く、二次カリエス(むし歯の再発)などにもなりやすくなってしまいます。このような場合は、歯を抜かなくてはいけない可能性が高くなってしまいます。
このように、失活した歯は大幅に寿命が短くなります。
MTAセメント(プロルートMTA)は、1993年に米国ロマリンダ大学のDr.Mahmoud Torabinejadらにより根管穿孔部位を封鎖する材料として開発され、1998年以降に欧米各国で、2007年に日本で発売が開始されて以来、多数の症例に使用されて高い臨床評価が得られています。
ケイ酸カルシウムを主成分とするMTA(Mineral Trioxide Aggregate)は、生体親和性や封鎖性、石灰化促進作用、デンティンブリッジ形成能、細胞反応活性化促進作用、抗菌性に優れた革新的な材料です。
当院のMTA覆髄治療では、プロルートMTA(Pro Root MTA)など複数の材料を症例に合わせて選択しています。
歯科医は歯髄を出来る限り残したい
前述したとおり、生活歯と失活歯では歯の寿命や耐久性、感染に対する抵抗力が大きく異なります。ですから、我々歯科医師としても出来る限り歯髄を残せるようにしたいというのが本音です。最近ではMTAセメントによる治療を希望される方も少なくありません。しかし、MTAセメントは万能ではありません。MTAセメントによる治療が可能かどうかは、歯を削り、むし歯を取り除いてみないとわからないこともあります。ですから、MTAセメントによる治療をご希望されても、むし歯を取りきった際に歯髄を残すことが出来ないとうことも可能性としてあることをご理解頂く必要があります。とはいえ、歯の生活反応を残せるチャンスがあるのであれば、最後の手段としてMTAセメントをご提案することがあります。説明を聞かれた上で、歯の神経を残したいと思われた際には選択して下さい。
MTAセメントによる治療が可能な目安
MTAセメントが可能な目安としては、「自発痛」があるかどうかが一つのポイントととなってきます。自発痛とは、何もしていないときでもズキズキ痛むことです。自発痛が出始めると、むし歯が歯髄を侵食している可能性が高くなり、MTAによる治療が困難となります。MTAがあるからまだ大丈夫と思わずに、歯に違和感を感じたらいち早く歯科に通うこと、または定期検診に通ってむし歯にならないように予防することが、歯を守る上で最も有効な手段です。
MTAセメントの費用
種類 | 説明 | 料金 |
---|---|---|
MTAセメント | 露髄部への覆髄や治療、歯髄保護として主に使用する歯科用セメントを利用して、抜髄せずに神経を残す方法 治療期間…1日、治療回数…1回 | 50,000+税 ※別途補綴の費用がかかります 詰め物30,000円〜45,000円+税 被せ物70,000円〜130,000円+税 |
MTAセメントの治療工程
MTAセメントのメリット
- 歯の根の治療に比べて治療回数が短くなります。(歯の根の治療の場合、1〜3ヶ月程度かかることもあります)
- 歯の神経を残すため、歯の神経を取った場合に比べて歯の寿命が長くなります。
- 自由診療なので補綴物も二次カリエスの可能性が低いものを選択できます。
MTAセメントのデメリット
- 全ての症状において使用できるわけではない。
- 歯の生活反応がない場合は歯の神経を取る必要がある。
- 保険外診療で高価な材料であるためコストがかかる。